美容師の中途採用面接で聞くこと。経験を確かめる質問と、聞いてはいけないこと

面接で確かめそこねたことが、3か月後の離職になります。
中途採用の面接で、何を聞いているでしょうか。「前はどちらのサロンに」「なぜ辞めたんですか」「いつから来られますか」。この3つで終わってしまうことも、少なくありません。
面接は採る・採らないを決める場であると同時に、入ってから「話が違う」と言われないための場でもあります。
聞くことを4つに分けてまとめました。あわせて、法律上たずねてはいけない項目もお伝えします。
1. 技術と経験を確かめる
履歴書の「スタイリスト歴5年」だけでは、何ができるかは分かりません。サロンによって、任される範囲がまったく違うからです。
| 聞くこと | 分かること |
|---|---|
| 美容師免許の取得年 | 経験年数の裏づけ |
| スタイリストデビューの時期 | アシスタント期間の長さ |
| 1日に何人担当していたか | 回転の速さ、体力 |
| 得意な施術と、苦手な施術 | 配属先の判断材料 |
| 使っていた薬剤・機器 | 入店後に覚え直す量 |
| 指名のお客様はどのくらいか | 集客力、接客の質 |
| 店販の実績 | 提案の姿勢 |
| まつげ・ネイル・着付けなどの資格 | 任せられる幅。職種による違いはこちら |
苦手な施術は必ず聞いてください。 得意なことだけを聞くと、入ってから「メンズのカットは経験がない」「縮毛矯正はやったことがない」と分かり、現場が困ります。
答えにくい質問ではありますが、「うちでは入ってから教える体制があるので、正直に教えてください」と前置きすれば、話していただけます。
技術チェックをするなら、基準を先に伝える
面接でウィッグを使った技術チェックを行うサロンもあります。行うこと自体は問題ありませんが、何を見るのかを先に伝えてください。
「カットの正確さを見ます」「時間内に終わるかを見ます」と伝えるだけで、受ける側の緊張が変わります。基準を伝えずに見て、あとから「思っていたのと違った」と判断するのは、お互いにとって損です。
2. 退職理由を、責めずに聞く
「なぜ辞めたのですか」は、ほとんどの面接で聞かれます。ただ、この聞き方だと当たり障りのない答えしか返ってきません。「キャリアアップのため」「新しい環境で挑戦したくて」。これでは何も分かりません。
聞き方を少し変えてみてください。
「前のお店で、何が変わっていれば、続けられたと思いますか」
この聞き方だと、本当に困っていたことが出てきます。シフト、給与の仕組み、教育、人間関係、通勤。
ここで出てきたことが、自分のサロンでも起きるかどうかを考えてください。「土日が必ず出勤で、家族との時間が取れなかった」という方に同じ条件を出せば、同じ理由で辞めます。
責めるための質問ではありません。合うかどうかを確かめるための質問です。
3. 条件をすり合わせる
入ってから揉めるのは、ほぼここです。面接の場で、はっきりさせておきます。
- 入社できる時期(在職中なら、退職までにどのくらいかかるか)
- 勤務時間、休日、シフトの組み方
- 給与の仕組み(固定給・歩合の割合・指名料の扱い)
- 試用期間の有無と、その間の条件
- 講習や練習の時間は、勤務時間に入るのか
- 通勤の手段と時間
給与は、金額だけでなく仕組みを伝えてください。「25万円」と伝えても、それが固定給なのか歩合込みの見込み額なのかで、受け取り方はまったく違います。歩合の割合と、その計算方法まで説明します。
練習時間の扱いも、美容室では揉めやすい項目です。営業後の練習が勤務にあたるかどうか、事前にはっきりさせておきます。
4. 自分のサロンのことを伝える
面接は、こちらが選ぶ場であると同時に、選ばれる場でもあります。とくに中途採用では、応募者は複数のサロンを同時に見ています。
- どんなお客様が多いか(年齢層、単価、施術の傾向)
- スタッフの構成と、1日の流れ
- 入ってから3か月で、何を身につけてもらうか
- 将来どうなれるか(役職、独立支援、時短勤務など)
可能であれば、面接とサロン見学をセットにしてください。働く場所と人を見てから決めていただくほうが、入ってからの差が小さくなります。
聞いてはいけないこと
ここは、知らずに聞いてしまいがちなところです。厚生労働省は「公正な採用選考」として、本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項を、採用選考でたずねないよう求めています。
本人に責任のない事項
- 本籍地、出生地
- 家族の職業、続柄、地位、学歴、収入
- 住んでいる家の種類(持ち家か借家か)、間取り
- 生活環境、家庭環境
本来自由であるべき事項
- 宗教
- 支持政党、政治や社会に対する考え
- 尊敬する人物
- 購読している新聞、愛読書
- 労働組合や学生運動などの経験
男女で扱いを変えることにつながる質問
- 結婚の予定、出産の予定
- 子どもができたらどうするか
- 「女性だから」「男性だから」を前提にした質問
「話のきっかけとして聞いただけ」でも、採用選考の場では不適切とされます。とくに美容室では会話が自然に弾むぶん、うっかり踏み込みやすい項目が並んでいます。
代わりに、こう聞けば同じことが確かめられます。
| ❌ 聞いてはいけない | ⭕️ こう聞く |
|---|---|
| ご結婚のご予定は | 当面、どういった働き方をお考えですか |
| お子さんができたら続けられますか | 早番・遅番のご希望はありますか |
| ご実家はどちらですか | 通勤にどのくらいかかりますか |
| ご家族は何をされていますか | (聞く必要はありません) |
確かめたいのは、働き方の希望と条件が合うかどうかです。そこだけを、まっすぐ聞いてください。
聞いたことを、記録に残す
面接で聞いたことは、その場では覚えていても、1週間後には曖昧になります。とくに複数名を面接したときは、誰が何を言ったかが混ざります。
- 聞いた内容を、その日のうちに残す
- 決めた条件(入社日・給与・勤務時間)は、文字にして本人にも送る
- 面接を担当した人以外も、あとから見られるようにしておく
3つめは見落とされがちですが、大事です。面接した店長が休みの日に本人から連絡が来ても、他のスタッフが状況を見て返せます。
条件を文字にして送っておくことは、「言った・言わない」を防ぐうえでも効きます。入社後に条件の認識がずれると、そこから早期離職につながります。
面接の記録をまとめる
私たちが提供している「QJ Manager」は、サロンのLINE公式アカウントにつないで使う採用管理ツールです。面接のまわりでは、次のように使えます。
- 応募者ごとに、やり取りとメモが1つの画面にまとまる
- 面接の日程は、登録済みの枠から本人に選んでいただける
- 前日・当日のリマインドが自動で届く
- 選考の段階(応募・面接・内定など)を記録し、いま何人がどこにいるかが分かる
- 対応した担当者を記録できるので、担当者が不在でも他のスタッフが引き継げる
- 決めた条件をLINEで送れば、本人の手元にも記録が残る
記録する項目の考え方は、美容師の採用管理を仕組みにする(中途採用編)で詳しくまとめています。
中途採用でのご利用については、中途採用向けのご案内をご覧ください。
まとめ
- 技術は「得意なこと」だけでなく「苦手なこと」を聞く。入ってからの食い違いを防ぐ
- 退職理由は「何が変わっていれば続けられたか」と聞く。当たり障りのない答えを避けられる
- 給与は金額でなく仕組みを伝える。練習時間の扱いもはっきりさせる
- 面接は選ばれる場でもある。サロン見学とセットにする
- 本籍・家族・住居・宗教・結婚や出産の予定は、たずねてはいけない
- 聞いたことと決めた条件は文字で残し、本人にも送る
次の面接の前に、聞くことを紙に書き出してみてください。
毎回同じことを聞ける状態になってはじめて、応募者どうしを比べられるようになるのです。
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