美容師の採用、入口を増やしたあとに起きること。媒体・成果課金・人材紹介の束ね方

一度その入口を通った方は、あとで直接やり取りをしても、採用が決まれば費用の対象になります。
美容師を採用するとき、いまはいくつもの入口があります。求人媒体に掲載する、成果課金の求人サイトを使う、人材紹介に依頼する、自店のInstagramから受ける、スタッフに紹介してもらう。
多くのサロンが、このうち2つ3つを同時に使っています。入口が増えれば、出会える人は増えます。ただ増えたぶんだけ、サロン側でやることも増えます。冒頭のような話も、記録がなければ確認のしようがありません。
入口ごとの向き不向きと、増やしたときにサロン側で起きることをまとめました。
美容師採用の入口は、4つに分かれる
費用のかかり方で分けると、こうなります。
| 入口 | 費用が発生するとき | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 掲載課金の求人媒体 | 掲載したとき | 採用したい時期が決まっている。継続して名前を出しておきたい |
| 成果課金の求人サイト | 応募や採用が出たとき | 応募が読めない。決まらないときの出費を抑えたい |
| 人材紹介 | 入社が決まったとき | 急いでいる。条件が難しい。探す手が空いていない |
| 自社の入口(SNS・店頭・スタッフの紹介・元スタッフ) | 集める仕組みを自分たちで持つ | 店の雰囲気を知ったうえで来ていただきたい |
美容師の成果課金は、1人あたり15万円から30万円程度が目安です。掲載課金と違い、決まらなければ費用は出ません。そのぶん、採用の見通しが立ちにくいときに使いやすい形です。
人材紹介は、探す作業そのものを任せられます。「スタイリスト歴5年以上、まつげの資格あり、土日勤務可」といった条件で自分たちが探すのは大変です。そこを代わりに動いてもらえるのが、いちばんの価値です。
自社の入口は、時間がかかります。SNSを続ける、店頭に掲示する、スタッフに声をかけてもらう。すぐには効きません。ただ、来る方がすでに店を知っているという強みがあります。
どれが良い・悪いではありません。急ぎなら紹介、通年で名前を出すなら掲載、無駄打ちを避けたいなら成果課金、じっくり合う人を探すなら自社の入口。場面によって使い分けるものです。
入口を増やすと、サロン側で3つのことが起きる
ここからが本題です。入口を3つ4つと使うと、サロン側で次のことが起きます。
1. 応募者の情報が、入口ごとにばらける
- 媒体Aの応募は、媒体Aの管理画面
- 媒体Bの応募は、媒体Bの管理画面
- 紹介会社からの候補者は、担当者からのメール
- Instagramからの応募は、DM
- スタッフの紹介は、店長のLINE
全体で今何人が動いているのかが、誰にも分かりません。見るところが5か所あれば、どこかは見落とします。
2. 対応の速さが、入口によって変わる
媒体の管理画面は、毎日開く人が決まっています。その人が休みの日に来た応募は、そのぶん遅れます。DMは通知に埋もれます。
中途採用では、応募が来てからの数日で他店に決まります。入口ごとに対応の速さがばらつくと、せっかく費用をかけた入口ほど遅いということが起こります。どこで止まっているかも分かりません。
3. 「この人はどこから来たか」が分からなくなる
3か月前に媒体から応募があった方。そのときは見送ったけれど、最近また問い合わせがあった。この方は、どの入口から来た方でしょうか。
記録がなければ、分かりません。そして、これは次の節のとおり、費用の話につながります。
経路の記録は、あとで費用の話になる
ここは、知らないと揉めるところです。
一度その入口を通った方は、そのあとサロンが直接やり取りをしても、採用が決まれば費用の対象になることがほとんどです。
たとえば、こういう場合です。
- 媒体経由で応募があったが、そのときは見送った。半年後にこちらから声をかけて採用した
- 紹介会社から候補者を紹介されたが、条件が合わず見送った。あとで本人から直接連絡があり、採用した
- 成果課金のサイトから応募があった方と、その後LINEで直接やり取りをして採用した
いずれも、費用の対象になることがあります。
これは不当なことではありません。その方と出会うきっかけをつくったのは、その入口だからです。出会いを提供した対価として費用が発生する、という考え方です。
ただし期間や条件は契約によって違います。「応募から2年以内」といった期限が定められていることもあれば、そうでないこともあります。必ず契約書をご確認ください。
そして、ここで大事なのがサロン側の記録です。
- 経路を記録していなければ、請求が来たときに確認できません
- 逆に、対象外の方まで対象だと思い込んで、声をかけるのをためらってしまうこともあります
- 「この人は自店のInstagramから来た」とはっきりしていれば、迷わず動けます
記録は、サロンを守るためのものです。
経路を記録すると、もう一つ分かること
費用の確認とは別に、どの入口が効いているかが見えます。
| 入口 | 応募 | 面接 | 入社 |
|---|---|---|---|
| 媒体A | 12 | 4 | 1 |
| 成果課金サイト | 5 | 3 | 2 |
| 人材紹介 | 3 | 3 | 1 |
| 8 | 1 | 0 | |
| スタッフの紹介 | 2 | 2 | 1 |
こういう表が年に1回出せると、次の年の使い方が変わります。
上の例でいえば、Instagramは応募が多いのに面接に進んでいません。求人の内容と来る方が合っていないか、応募後の対応が遅れている可能性があります。一方、スタッフの紹介は数が少ないものの、ほぼ確実に決まっています。
応募の数だけを見ていると、この違いが分かりません。入口ごとに、応募・面接・入社の3つを並べてはじめて、どこにお金と手間をかけるべきかが見えます。
媒体と紹介で回しながら、自社の入口も育てる
入口の使い分けで、もう一つお伝えしたいことがあります。
媒体と人材紹介は、必要になったときにすぐ動けます。来月までに1人ほしい、という状況で頼れるのはこちらです。費用はかかりますが、そのぶん早く、確実です。急ぎのときに自社の努力だけでどうにかしようとすると、間に合いません。
一方、自社の入口は、今日始めても効いてくるのは半年後です。Instagramを始めても、すぐに応募は来ません。スタッフの紹介制度をつくっても、すぐには紹介が出ません。
つまり、どちらか一方を選ぶ話ではありません。
いまの採用は、媒体と紹介で回す。 並行して、半年後・1年後に効く自社の入口を育てておく。
これが現実的な組み立て方です。自社の入口が育ってくれば、媒体や紹介に頼る場面を「本当に急ぐとき」「条件が難しいとき」に絞れるようになります。逆に自社の入口が何もない状態だと、採用が必要になるたびに毎回ゼロから外に頼ることになります。
自社の入口を育てるのに、大がかりなことは要りません。
- 自店のInstagramのプロフィールに、応募の入り口を常に置いておく
- 店頭に「スタッフ募集」の掲示を出す(お客様が知り合いに伝えてくださることがあります)
- スタッフの紹介制度をつくる。決まりやすく、辞めにくい入口です(作り方はこちら)
- サロン見学に来た学生や、過去に応募のあった方とのつながりを切らさない
- 辞めたスタッフに、復職の案内を送れる状態にしておく
どれも、採用に困っていない時期にこそ手を入れるものです。困ってから始めても間に合わないからです。
ひとつ注意があります。前の節のとおり、媒体や紹介を通った方にあとから自社のルートで声をかけても、費用の対象になることがあります。自社の入口は「すでに出会った方を囲い込むため」ではなく、まだ出会っていない方と新しくつながるために育ててください。ここを混同すると、あとで揉めます。
受け皿を1つにする
入口を増やすこと自体は、良いことです。問題は、入口の数だけ受け皿が分かれてしまうことです。
やるべきことは、単純です。
- どの入口から来た方も、同じ場所に集める
- 集めるときに、どこから来たかを記録する
- 対応の状況(連絡した、面接した、見送った)を、そこに残す
これだけで、3つの問題が同時に解けます。全体で何人動いているかが分かる。対応の遅れが見える。経路が残る。
入口の後ろを、ひとつにまとめる
私たちが提供している「QJ Manager」は、サロンのLINE公式アカウントにつないで使う採用管理ツールです。入口を増やす道具ではありません。増えた入口の後ろを、ひとつにまとめる道具です。
- どの入口から来た方も、サロンのLINEに集まる(QRコードやURLを、媒体・SNS・店頭それぞれに置ける)
- 入口ごとに違う受付を用意できるので、誰がどこから来たかが自動で記録される
- 応募を受け取ると自動で返事が届く。担当者が管理画面を開かなくても、その日のうちに一次対応が終わる
- 面談やサロン見学の予約は、登録済みの枠から本人に選んでいただける
- 選考の段階と対応した担当者が記録に残り、担当者が不在でも他のスタッフが引き継げる
- 経路つきの一覧を書き出せるので、入口ごとの応募数・面接数・入社数を年度で比べられる
入口にかけた費用を無駄にしないための道具、とお考えいただくのが近いと思います。
応募が来てからの対応でつまずく場面は、美容師求人の応募対応でつまずく4つの場面にまとめています。記録する項目の考え方は、美容師の採用管理を仕組みにする(中途採用編)をご覧ください。
中途採用でのご利用については、中途採用向けのご案内で詳しくご説明しています。
まとめ
- 採用の入口は、掲載課金・成果課金・人材紹介・自社の入口の4つ。どれが良い悪いではなく、場面で使い分ける
- 美容師の成果課金は1人あたり15万〜30万円程度。決まらなければ費用は出ない。入口ごとの費用の出し方
- 入口を増やすと、情報がばらけ、対応の速さがばらつき、経路が分からなくなる
- 一度その入口を通った方は、あとで直接やり取りをしても費用の対象になることがほとんど。期間や条件は契約によるので必ず確認する
- 経路の記録は、サロンを守るためのもの。請求の確認にも、どの入口が効いているかの判断にも使う
- いまの採用は媒体と紹介で回し、並行して自社の入口を育てる。自社の入口が効いてくるのは半年後なので、困っていない時期に手を入れる
- 入口ごとに応募・面接・入社の3つを並べると、次にどこへお金をかけるかが見える
まずは、いま使っている入口を書き出してみてください。 3つ以上あるなら、それぞれの応募が「いま何人、どの段階にいるか」を答えられるかどうかも。
答えられない入口は、お金を払って出会った方を、置いたままにしているのかもしれないのです。
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