新卒採用のはじめかたマニュアル。美容室がゼロから始める手順と1年の流れ

美容学生は、1年生の春から動いています。
これまで中途採用だけでやってきたサロンが新卒採用を始めようとするとき、最初に困るのは「何から手をつければいいのか」です。中途採用と同じやり方で始めると、たいてい1年目は空振りに終わります。2年生に声をかけ始めたときには、その学生はもう見学を終えているからです。
ゼロから新卒採用を始めるための手順を、決めることから最初の1年で見る数字まで順にまとめます。美容専門学校(2年制)の学生を想定しています。
中途採用とどう違うのか
まず、違いを押さえておきます。ここを誤解したまま進めると、途中で行き詰まります。
| 中途採用 | 新卒採用 | |
|---|---|---|
| 動く時期 | 一年中。欠員が出たとき | 学年ごとに決まっている |
| 出会う場所 | 求人媒体、紹介 | 学校、就職フェア、SNS |
| 決めるまでの期間 | 数週間 | 半年から1年以上 |
| 相手が見ているもの | 条件、任される仕事 | 人、雰囲気、育ててもらえるか |
| 入社までの間 | 短い | 内定から入社まで数か月ある |
| サロン側に要るもの | 即戦力を受け入れる体制 | 未経験者を育てる体制 |
いちばん大きな違いは、決めるまでの期間の長さです。中途採用は数週間で決まりますが、新卒採用では最初に出会ってから入社まで1年以上かかることもあります。その間ずっと関係を続けられるかどうかが、そのまま結果になります。
始める前に決める4つのこと
学生と会う前に、次の4つを決めてください。ここが曖昧なまま学生と話すと、質問に答えられず、それだけで候補から外れます。
1. 誰が教えるか
新卒はアシスタントから始まります。誰が、どのくらいの時間をかけて教えるのかを決めてください。学生は必ずこれを聞きます。「先輩が丁寧に教えます」では伝わりません。
- 練習はいつやるのか(営業前・営業後・定休日)
- 誰が見るのか(店長・先輩スタイリスト・担当制)
- デビューまでの目安はどのくらいか
答えられる状態にしておくことが、そのまま採用力になります。
2. 条件を書き出す
給与・休日・勤務時間・社会保険・研修費の扱いを、紙に書き出してください。口頭で伝えると、学生から保護者へ伝わる途中で変わります。
近隣の同じ規模のサロンの求人を実際に見て、見劣りしていないか確かめてください。学生は必ず複数のサロンを比べています。
3. 見学をどう受け入れるか
新卒採用では、見学が最大の山場です。ここで決まります。
- 受け入れられる曜日と時間はいつか
- 1回に何人まで受け入れられるか
- 誰が案内するか
- 何を見せるか(施術中の店内、スタッフの様子、練習風景)
- 所要時間はどのくらいか
「いつでもどうぞ」では学生は来ません。具体的な日時を示せる状態にしておいてください。
4. 連絡の担当を決める
学生とのやり取りは、長い期間にわたります。誰が担当するのか、その人が休みのときは誰が見るのかを決めてください。
美容室の採用担当は、多くの場合スタイリストが兼任しています。サロンワークの合間に連絡することになるという前提で、無理のない形を決めておくことが大切です。
美容学生の1年の動き方
美容専門学校の学生は、決まった流れで就職活動をします。この流れに合わせて動かないと、声をかけても届きません。
| 時期 | 学生の状況 | サロンがすること |
|---|---|---|
| 1年生の春 | どんなサロンがあるかを知り始める | 知ってもらう。就職フェアに出る |
| 1年生の夏〜秋 | 気になるサロンが絞られてくる | 働く人の様子を伝え続ける |
| 1年生の冬〜2年生の春 | 実際に見学に行く | 見学を受け入れる。ここが山場 |
| 2年生の春〜夏 | 面接を受ける | 選考を進める |
| 2年生の夏〜秋 | 内定が出る | 内定を出し、入社までつなぐ |
| 2年生の冬 | 国家試験に向けた勉強 | 連絡は控えめに |
| 卒業後の春 | 入社 | 受け入れる |
冒頭に書いたとおり、学生は1年生の春から動いています。2年生になってから探し始めるサロンは、すでに見学を終えた学生を相手にすることになります。
2年生の冬は国家試験の直前です。この時期に連絡を増やすと負担になります。短い応援の言葉だけにしてください。
学校との関わり方
新卒採用では、学校が入口になります。
求人票を出す。 美容専門学校には就職を担当する先生がいます。求人票の様式や受付の時期は学校によって違うので、まず電話で問い合わせてください。「新卒の採用を始めたいので、求人票の出し方を教えてほしい」と伝えれば案内してもらえます。送る時期と必要な書類は美容学校に求人票を送るにまとめました。
学内の説明会に参加する。 学校が主催する説明会があります。参加できるかどうかは学校ごとに違います。求人票を出すときに、あわせて聞いてみてください。
関係は一度で終わらせない。 学校の先生は、学生にどのサロンをすすめるかを考えています。1年で結果が出なくても続けてください。学校との関係は、年数がそのまま効いてきます。
学生と出会う場所
学校以外にも、出会う場所があります。それぞれ性質が違います。
就職フェアは、一度に多くの学生と会える場です。ただし参加しただけでは決まりません。その後の連絡が続くかどうかで結果が変わります。詳しくは就職フェアは参加して終わりではないでご説明しています。
美容学生向けの合同会社説明会としては、私たちセイファートが運営する「re-quest/QJ 就職フェア」があります。札幌から沖縄まで全国各地で開催しており、サロンを1日かけて巡る見学ツアーもあわせて行っています。開催地・日程と出展のご相談はre-quest/QJ 就職フェアからご覧いただけます。はじめて新卒採用に取り組むサロンにとっては、学校と個別に関係を作るより先に学生と会える場になります。
SNSは、学生が日常的に見ている場所です。サロンの雰囲気や働いている人の様子が伝わります。求人の告知よりも、ふだんの投稿のほうが効きます。
求人媒体は、応募が来る場所です。ただし新卒では、媒体だけで決める学生は多くありません。他で知ったサロンを調べる場所として使われます。
在校生・卒業生からの紹介は、最も決まりやすい経路です。学校に卒業生がいれば、そこから広がります。
見学から内定までの進め方
見学
学生が見るのは、技術より人です。スタッフ同士がどう話しているか、忙しいときの空気がどうか。ここを取り繕っても伝わります。ふだんどおりを見せてください。
見学の最後に、次の約束をしてください。「また連絡します」ではなく、「次は◯月に面接の案内を送ります」と具体的に伝えます。
面接
新卒の面接で技術は見られません。見るのは、続けられそうかどうかです。
- なぜ美容師になろうと思ったか
- 学校で何が楽しいか、何が苦手か
- 3年後にどうなっていたいか
評価の基準を先に決めて、紙にしておいてください。 面接する人が複数いると、基準がずれます。
内定から入社まで
内定を出してから入社まで、数か月あります。この間に連絡が途切れると、他へ行きます。
- 月に1回は連絡する
- 内定者どうしが会える機会を作る
- 入社前にもう一度サロンに来てもらう
- 国家試験の時期は、連絡を控えめにする
内定辞退の多くは、条件の問題ではなく、放っておかれたことが理由です。
最初の1年で見る数字
1年目から採用が決まるとは限りません。決まらなかったときに「新卒は無理だった」で終わらせないために、次の数字を記録してください。
- 学校に求人票を出した数
- フェア・説明会で会った学生の数
- 連絡が取れる状態になった学生の数
- 見学に来た学生の数
- 面接した数、内定を出した数、入社した数
1年目は、見学に来てもらえるかどうかまでで十分です。そこまで進んでいれば、2年目は形になります。
数え方は美容室の採用管理表の作り方で詳しくご説明しています。
よくあるつまずき
2年生の春から始めてしまう。 その時期には、学生はすでに見学を終えています。始めるなら1年生に向けて動いてください。
1年目で判断してしまう。 新卒採用は、学校との関係も学生との関係も時間がかかります。1年で結果が出ないのが普通です。
連絡が途切れる。 忙しい時期に止まり、そのまま再開できなくなります。決まった時期に決まった内容を送る形にしておくと続きます。
受け入れる体制がないまま採用する。 教える人が決まっていないと、入社してすぐ辞めます。採用そのものより、こちらのほうが大切です。
QJ Managerでの新卒採用
私たちが提供している「QJ Manager」は、サロンのLINE公式アカウントにつないで使う採用管理ツールです。この記事に書いた流れを、そのまま画面に持っています。
- 就職フェアや学内説明会でQRコードを読み取ると、その場で名簿に載る
- 学校名・学年・希望エリアを、学生がLINEで答えて登録される
- 学年ごとに絞って、まとめて連絡を送れる
- 見学の予約枠を示し、学生がその場で選んで予約できる
- 前日・当日のリマインドが自動で届く
- 誰がどの段階にいるかが一覧で分かり、担当者が不在でも状況を追える
- よくある質問には自動で返事をする
新卒採用の進め方については美容学生の採用管理でも、LINEでの受け付け方については美容室の新卒採用をLINEででもご説明しています。中途採用とあわせてお使いいただくこともできます(中途採用向けのご案内)。
まとめ
- 新卒採用は中途採用の延長ではない。動く時期が決まっていて、決まるまでが長い
- 学生と会う前に、教える人・条件・見学の受け入れ方・連絡の担当を決める
- 美容学生は1年生の春から動いている。2年生からでは遅い
- 学校に求人票を出すところから始める。まず電話で問い合わせる
- 見学が山場。技術より人を見られている
- 内定から入社までの数か月、連絡を切らさない
- 1年目は、見学に来てもらえるところまでで十分
- 1年で判断せず、学校との関係を続ける
まずは、近隣の美容専門学校に求人票の出し方を問い合わせるところから始めてみてください。
いま1年生の学生が入社するのは、2年以上先です。遅いようで、始めるのにちょうどよい時期なのかもしれません。
LINEで見学予約と採用を自動化する「QJ Manager」
初月無料・初期費用0円。店舗数に合わせたシンプルな料金で、LINE公式アカウントがあれば数日で始められます。
お問い合わせ・無料トライアルサービスの詳しい紹介を見る →